第四期叡王戦七番勝負の展望
さて、どちらが勝つのでしょうか。
この叡王戦の特徴として、予め先手後手が決まりつつ、持ち時間が後ろに行くにしたがって少なくなるという点があります(持ち時間選択制なのですが、基本的には長い時間から選ばれていくので後ろに行くにしたがって短くなる)。
レーティングでいうと、永瀬挑戦者が現時点で棋界2位。月次推移で言っても三年ぐらい前からトップ10以内にいることが多い状態。対する高見叡王はデビューから徐々にR点が上昇し大学卒業後以降にベスト30以内に入っています。
過去の対戦成績は永瀬挑戦者の3-0。C2、朝日杯一次予選、竜王戦4組で当たっています。
どちらも6連勝、7連勝中という、好調な状態でタイトル戦に臨みます。海外対局ですが、時差が1時間と少ないので海外経験の有無が対局に影響することはなさそうです。
棋風的には、両者ともに終盤力に秀でてますが、高見叡王が切れ味鋭いタイプだとすると、永瀬挑戦者は”ノコギリでギーコギーコする”と形容される感じです。序盤の研究も深く、番勝負なのでどういう戦型で戦うか?がタイトルの行方にかかっているのではないでしょうか。
具体的には、土居矢倉と呼ばれる、▲67金左とあがる形です。これは高見叡王のエース戦法であり、将棋世界の連載イメ読みではトッププロ陣の評判はそこまで良くなかった印象ですが、ゆえに大量採用されずに手付かずなまま、高見叡王自身はドル箱戦法として公式戦無敗、(7-0?)という状況でした。
しかし叡王戦の前に、永瀬挑戦者がなんと他棋戦で連続採用しました。結果は1勝1分。
後手の対策としては同形に進めるのが有力視されているようです。
両者ともに先手番でこの作戦を用いる可能性があります。一方で、後手番では両者ともに、特に永瀬挑戦者が最近でも横歩取りを多用している点に注目です。最近でここまで横歩取りの採用率が高い棋士は永瀬挑戦者以外にいないような気がします。しかもトッププロ陣に普通に勝っているのが恐ろしいところ(高見叡王も多いですが、後手番での急戦矢倉も得意にしています)。
両者ともに後手番では居飛車の色々な戦法を投入しています。ぱっと見た感じでは高見叡王は先後ともに矢倉が多め。永瀬挑戦者は横歩多め、先手番では角換わりと矢倉。
両者ともに先手番の相掛かり志向には普通に応じているので一局は相掛かりが登場するかもしれません。
初戦の戦型予想ですが、永瀬挑戦者の先手番で例の土居矢倉になると予想します。それを高見叡王が回避したい場合は横歩取りになるかもしれません。
高見叡王として一番嫌であろう展開は、永瀬挑戦者が先手番では自身の得意戦法を用い、後手番では横歩取りに誘導して得意戦法を封じる展開ではないでしょうか。そうなると第1局・2局と連続して横歩取りになる可能性もあります。或いは永瀬挑戦者の横歩取りの研究を嫌って相掛かりでしょうか。
というわけで第一局は横歩取り、第二局は相掛かりを予想しておきます。土居矢倉がみれるかどうか?用いるのはどちらか?には非常に興味があります!
どちらを応援するか?ですが、新入社員の季節なので「どちらを新入社員として迎えたいか?」で答えると、断然高見叡王でしょうか。高見さんのコミュ力、人間力の高さ、気配り力は本当に素晴らしいと思います。
番勝負は人間力の戦いでもあります。インタビューで永瀬さんが着物を嫌がっている感じもあったのでその辺が勝負に影響するかもしれません。
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