藤井聡太、最年少タイトル獲得記録更新。(第91期棋聖戦)
藤井聡太棋聖、年末に三冠王になってる気がするのよね。。。
— 将棋観戦 (@shogiwatch) July 16, 2020
ちょっと強すぎますね、やはり。
時の第一人者を相手に正々堂々と戦い、力負けせずにねじりあいに打ち勝ち、そのまま勝利した、そういう将棋でした。勝ち方が強い。
既に色々報道されているので、簡単に振り返ります。
先手は渡辺明棋聖。とりあえず好きな作戦を選択できます。戦前の戦型予想は角換わりが多かったように思います。私もそうでした。
しかし、渡辺明棋聖が選択したのは矢倉。しかも急戦矢倉、第二局で出現した局面の修正案を提示しました。具体的には端歩の交換と三筋の突き捨てを入れる、というものでした。
挑戦者の藤井聡太さんは時間の使い方を見る限り、そこまで研究していたようにも見えず、時間の消費としても渡辺明棋聖よりも多く、前局の展開を思わせるような序盤から中盤でした。ひとまず先手の言い分が通ったように見えたのですが、双方使える駒が少なく、難しい手が続きます。
本局の鑑賞ポイントは「桂馬の働き」だと思います。決めに行く桂馬ではなく、しかし着実にポイントを稼ぐために桂馬を使う手が多く出現しました。
個人的にびっくりしたのは59手目。やってこいと催促した手です。
#ShogiLive #第91期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第4局 #渡辺明藤井聡 #59手 この手は強気…。やはり渡辺明三冠、鬼強いな…
— 将棋観戦 (@shogiwatch) July 16, 2020
これは普通、怖くてさせない類の手にみえます。他に有効手があったかもしれない局面と結果論的には言えるかもしれません。金取りだったはずがその金に逃げられただけでなく、先手の攻めの土台だったはずの桂馬をタダ取りされたからです。打った歩を進めて取らせつつ、逃げた金で相手の攻めごまを責めてからの左右挟撃の攻め。
羽生さんの将棋もそうですが、盤面を広く見た、左右に目を散らす見事な手順でした。
先手玉は見た目以上に狭く、先手の飛車取りに構わず後手も飛車取りに銀を打ちます。取り合えば一手詰めになる先手は飛車を逃げるしかないですが、後手からの詰めろ・一手スキが外れなくなっていました。
#ShogiLive #第91期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第4局 #渡辺明藤井聡 #111手 この将棋、桂馬何回使ったんだろう。歩、桂馬、角。人間が性能を見誤りやすい駒の性能をフル活用出来るのが藤井聡太将棋の凄いところ。
— 将棋観戦 (@shogiwatch) July 16, 2020
本局の進行を第一感で当てられる人はほとんど居ないと思います。筋の良いプロ棋士でもこの手順が一目、という人はほぼいないというか、筋がよければよいほど浮かばない手順ばかりが続きました。
先手に桂馬交換から桂馬を打たれた局面は普通に先手が指しやすくみえるのですが、そこからの後手の手が全て独特で、歩と桂馬しか使わずに省エネな指し手が52手目から62手目まで続きます。ようやく違う手を指した64手目もとられそうな金を逃げただけ。そこからその金を運用してからまた歩と桂馬だけ。
先手の攻めが伸びきった瞬間に飛車の取り合いをせまる銀打ち、先手がそれを拒否してから後手も飛車を逃げ、そのあともやはり桂馬と歩しか動かしていません。この将棋、後手の左側の金銀角が全く働かない将棋で、そういう場合は普通は先手が良いはずなのですが、本来は守りの駒であるはずの右金が敵前線に繰り出しプレッシャーをかけ、そのほかの手段は全て桂馬と歩で繰り出されています。
この辺が藤井聡太将棋の本質ともいえるところで、恐ろしく小駒の活用がうまいです。このうまさはおそらく詰将棋解答能力というよりも、詰将棋創作能力に由来するもののように思われます。
他の人たちよりも、歩・桂馬・角の使い方が上手い、言い方を変えるとこれらの駒の性能が他の棋士よりも良い、という印象を受けます。
将棋AI、ソフトの発展により、従来の常識が少しずつ変わりつつありますが、個人的な印象としては、歩の価値が以前よりも少しだけ、ほんの少しだけ上がっていて、逆に桂馬の価値がすこーし下がっている(両者の価値が近づいている)ように思います。また、角と飛車では飛車のほうが価値が高いままだとは思うのですが、角の価値が少し上がっている。穴熊全盛時代では角と金の交換は場合によっては金のほうが価値が高い…というのが、ボナンザなどのソフトが隆盛を誇っていた時代にはありましたが、穴熊の優秀性が否定されつつある現時点では、そこはまた少し変わり、「角筋受けにくし」の有効性が多く示される作戦・局面が増えている印象です。
全部アマの私の印象論なのですがそんな感じです。
今一度、この将棋を並べなおしてもらうと、後手が動かしている駒の少なさに驚くと思います。私は藤井聡太新棋聖の棋風を「ボラティリティを抑える棋風」と呼んでいるんですが、まさにそれを思わせる指し回しだったと思います。
相手の攻めをググっと受け止め、相手の銃撃に手のひらをかざすだけでその勢いをなくしてしまい、藤井聡太の手のひらの手前で銃弾がパラパラと地面に落ちてしまう…そういうイメージの将棋です。
この最年少タイトル獲得の記録はもう破られることはないと思います。そしておそらくは二冠王、年内には三冠王になっているような気がします。
谷川浩司九段が20代の棋士の奮起を促したようですが、ちょっとどうにもならないレベルで強いと思います。何度も書きますが、人類が藤井聡太新棋聖に番勝負で勝つのは無理だと思います。。
藤井聡太さん27歳、いまから5年後に八冠王で5年維持で通算獲得七十期とかになってそう。
— 将棋観戦 (@shogiwatch) July 16, 2020
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